VBA開発を行うに当たって、特に厄介な課題の一つとして挙げられるのが「開発環境であるVBEがショボすぎる」という事である。
VBEをカスタマイズする方法は色々あるが、ここでは「開発環境(VBE)にコマンドを追加して自作のVBAプログラムを実行する」方法を紹介する。
きっかけ
以前よりVBAには「実行中のプロシージャを特定する術が無い」という課題があった。
差し当たっての解決策として、私はプロシージャ流入時に下記の文を記載している。
Const PROC_NAME = "functionName"
また、モジュール先頭にも同様の文を記載している。
Const MODULE_NAME = "ModuleName"
これにより、デバッグログを残す際に下記のような出力が出来るようにしていた。
Debug.Print MODULE_NAME, PROC_NAME, "hogehoge"
しかし、新たに関数を作成したときや、リファクタリングにより名称を変更した際に都度メンテするのは大変である。
そこで、
という発想に至るのは、想像に難くない。
しかし、VBE上で任意のプロシージャを F5 マクロ から探し出して実行するのは大変だ。
イミディエイトから叩くという手もあるが、ログなどで流れてしまうので繰り返し実行するのは面倒だ。
しかも異なるプロジェクトだと操作が増えてさらに面倒だ。
VBEのツールバー、メニューバーまたはショートカットキーを登録して、気軽に実行するようには出来ないだろうか。
実はVBAならそれが出来る
そのために必要な課題は以下の3つ
準備
詳しい説明に入る前に、注意事項を一つ。
VBEを操作するにはVBAのセキュリティレベルを下げる必要がある。
これにより、ウイルスがVBAのソースコードを悪意のあるコードに書き換えて、エクセルファイル等に容易に感染させることが可能となる。
非IT企業でVBAを書く人は、社内ではITスキルが高い人のはずである。もし開発者からウイルスが蔓延したとなっては今後の立場が危うくなるので、じゅ~~~ぶんに注意して欲しい。
実行時エラー'1004': プログラミングによる Visual Basic プロジェクトへのアクセスは信頼性に欠けます
が出た時は、Excel側のセキュリティ設定を落とす必要がある。
1.「ファイル」メニューの「オプション」の「セキュリティ センター」の「セキュリティ センターの設定」ボタンを実行 2.「マクロの設定」の「開発者向けのマクロの設定」の「VBA プロジェクト オブジェクト モデルへのアクセルを信頼する」にチェックを入れ「OK」ボタンを実行
(CodeModule 等で)ユーザー定義型は定義されていません。
が出た時は参照設定が足りていない。
VBEで目的のプロジェクトがアクティブな状態で、「ツール」の「参照設定」メニューで「Microsoft Visiual Basic for Applications Extensibility」を追加
ソースコードを書き換えるVBA
実はソースコードを書き換えるのは簡単である。
例えば下記のコードを実行するとソースコードを読み取れたのが分かるはずだ。
?ThisWorkbook.VBProject.VBComponents(1).CodeModule.Lines(1,10)
例えば下記のコードを実行すると、ThisWorkbookモジュールの1行目が「Option Explicit」に置換されるのが分かるはずだ。
※行の文字列の置き換えなので、ソースコードが極端に破壊されることはないはずだが注意すること。
Call ThisWorkbook.VBProject.VBComponents(1).CodeModule.ReplaceLine(1,"Option Explicit")
本題のConst PROC_NAME = "functionName"
の更新プログラムだが、StackOverflow のソースコードを拝借して、Access用かつバグが見受けられたので色々と修正してExcelで動くようにした。
ただし、このコードは既に記載されている Const PROC_NAME = "functionName"
の名称を更新してくれるだけなので、リファクタリングでしか役に立たない。
後日 Const PROC_NAME = "functionName"
を挿入するプログラムも作りたい。
Sub 全てのPROC_NAMEを更新() Call FixAllProcNameConstants() End Sub
VBEに機能を追加するVBA
VBEの機能追加については、
http://suyamasoft.blue.coocan.jp/ - エクセルVBA - サンプル - VBProject
に素晴らしいサンプルがあるので、これを使わせて頂いた。
元記事のソースコードの利用規約が不明なので、リンク先の紹介に留める。
でも、そのうちオリジナルのソースコードの書き下ろしが終わったら公開する。
ショートカットキーを割り当てる設定
VBEのコマンドにショートカットキーを割り当てる方法は、以前下記の記事で紹介した。
簡単に箇条書きにしておくと、以下の設定・条件が必要
- ツールバーにコマンドを設置
- コマンドボタンの表示スタイルを「イメージとテキスト」に変更する
- コマンドボタンの名称に
(&A)
のようなアクセスキー文字列を追記する - VBEのウィンドウサイズに余裕をもたせて、必ずコマンドボタンが画面上に表示された状態にする
- VBEのメニュー等で同じアクセスキーを使用していない
以上の条件を満たす時、コマンドを Alt+A
のような形で実行できるようになる。
まとめ
PROC_NAME
が自動で記入されるようになれば、正確なログを出力できるようになる。
つまりはデバッグが容易となり、開発効率が向上する。
今後はガンガン使っていきたい。
過去に開発したプログラムでも、VBEに登録したいものがいっぱい出てきた。
たとえば、先日開発したWin32APIを64bit対応させる変換プログラムとか、
イミディエイトを初期化するコマンドとか
モジュールをエクスポートしたり、エクスポートしたモジュールをWinMergeで過去のソースコードと差分を出してみたり。
もっと早く挑戦すればよかった。
以上
何か御座いましたらコメント欄、またはTwitterからどうぞ♪
それではまた来週♪ ちゅんちゅん(・8・)