Excelの中級者と上級者の違いはなんだろう?
Twitterを見ていて、ふと疑問に思ったので私なりの基準を考えてみた。
きっかけ
昨日、Twitterにてこんな話が物議を醸しました。
面接で「Excel中級です!VLOOKUP出来ます!」って言った新人がいるらしい。
— reime (@_reime) 2019年5月24日
面接で「Excel中級です!VLOOKUP出来ます!」って言った新人がいるらしい。
うちの課(情シス)では笑い話になってたけど、面接した人事社員はVLOOKUP関数使えないから誇っていいよ!
ひょっとしたら、この記事を読んだ方なのかも。
世の中的にはVLOOKUPとピボットテーブル使えたらExcel中級って感じするよね。
— reime (@_reime) 2019年5月24日
世の中的にはVLOOKUPとピボットテーブル使えたらExcel中級って感じするよね。
上級への境界は・・・
議論の余地がありそうですねw 世の中的にはマクロかと。
はじめに
まずは、下記の記事を御覧ください。
面白かったですか?納得いきませんか?
Twitter上のフォロワーの方々からは、わりと肯定的な意見が見られました。
私も主張としては基本的に同意見です。
じゃあ上級とはなんだろう?って思ったので、私の思うExcel上級者とやらを適当に考えてみました。
あくまで適当です。思いついたことを書きなぐっただけです。
明日には意見が変わっているかもしれません。
本記事を読んで「自分は上級に相当する」と思ったとしても、他の人には通用しません。
貴方の周りの基準が高すぎて、Excelを使いこなせているのが当然のような環境だと、自分は中級程度に見えるかもしれません。
逆に「自分はVLOOKUPも覚束ないし、知らないことだらけだからまだ初級だ」と思ったとしても、周りにExcelが使える人がいなければ「パソコン大先生」等と呼ばれて、チヤホヤされるかもしれません。
だからこうやって区分することは、あまり意味がないと思います。
それをご理解頂いた上で、私が思い描く「初級」「中級」「上級」とはなんなのか。
それが、この記事の内容です。
Excel 初級と中級の違いってなんだろう
初級と中級の境界に関しては、先の記事の意見にほぼ同意見です。
ただ勘違いしないでほしいのは、「VLOOKUPを使えれば」というのは、「本を見ながらVLOOKUPを使った表を作ったことがある」ではありません。
他人の丸写しなら、中身を理解しなくても、誰でも出来ますからね。
自分の持っているデータを使って、VLOOKUPで検索できるような表を作って、教科書を見ず書けるようになったら「使える」と言っても良いと思います。
どうぞ「自分は中級者です」と言ってください。言うのは自由です。受け入れられるかは分かりませんが。
それと「普通にExcelを使いながら勉強してVLOOKUPにまでたどり着くくらいまで学んだ人であれば、それなりにExcelの事を理解しているのだろう」という前提があるはずです。
私のように仕事でExcelを使って来た人には分かりますが、勉強を始めたばかりの人が先の記事を読んだとしても、この前提は見えていないことでしょう。
Excelの勉強を初めたばかりの人が、Excelの教科書を参考にVLOOKUPを覚えて、暗記して、「使える」ようになった。だから中級者だ。これは、なんか違和感があります。
普通はある程度Excelを使い込んで、色々な試行錯誤をして、VLOOKUPに出会って、使える様になって、神から神託を賜る。この道を辿った人が中級者だと思います。
というわけで、私のイメージを図にするとこんな感じです。
まあ、Excelの大半機能を知ってるけど全く使いこなせない人や、超複雑な数式が組めるけど機能を全く知らない人が実在するかどうかは疑問ですが。
中級と上級の境界はなんだろう
私が思うに、Excelという超多機能ソフトに対して、「上級者」という一つの括りに収めるのは不可能なんじゃないかと思います。
初級と中級の境界も曖昧ですが、「中級」と「上級」の境界はもっと曖昧です。
まあExcelに限った話ではありませんが。
「上級者」だからといって、「中級者」の知っている事を全てを知っている必要はありませんし、「上級者」にしか知らないようなことを「中級者」が知っていることだって珍しくないはずです。
そんな私のイメージにそっくりなものがありました。
初級者が基本情報、中級者が応用情報だとしたら、上級者は高度な各種試験に相当すると考えます。
Excelの一定以上の知識を身に着けており、その道の人にとって必要な機能を十分に使いこなせている。そして、それを人に自信を持って教えられる。そんな人を上級者として讃えたいです。
私がExcelの一定以上の知識として必要な条件を上げるとするならば、以下の3点でしょう。
・ネ申エクセルのような表を理解している
・Excelの機能を一通り把握している
・入れ子になった関数を読んだり、必要な式に改変できる
ネ申エクセルのような表を理解している
「世間でのExcelの使われ方を知っている」と言い換えても良いかもしれません。
まず、先のようなVLOOKUP関数を他の関数と組み合わせて呼吸するかのように、当たり前に使えるようになったら、純粋な表計算ソフトとしての中級者に必要な事項の一つはマスターしていると考えて良いでしょう。
すると、ネ申エクセルは悪だ。方眼紙はダメだ。セル結合した奴は許さない。VLOOKUP等で処理出来る表を作るべきだ。と考え始めます。
それは間違いではありません。
表計算で済ませるべきデータは、そのように作成すべきでしょう。
でも、それだけではエクセルを理解しているとは言えません。
上記のような表は、エクセルの数ある使い方のうちの「たった1つ」にすぎないからです。
世の中のエクセルデータには誤った開発者が意図していないかもしれない使い方が多数存在します。
- エクセルでフローチャート
- エクセルで手書き用の用紙作成
- 方眼紙エクセル(1つのセルに1文字を入力する表)
- 紙(ネ申)エクセル(多数のセル結合により実現している表。帳票など)
- エクセルで業務アプリ(VBAを駆使してデスクトップアプリとして活用)
- エクセルでゲーム開発
- エクセルでお絵かき
- エクセルでDTM
探せばまだまだ出てきますが、要するに関数やピボットテーブルを使って集計できる表が、エクセルの全てではないです。
エクセルは汎用ソフトです。VBAを使ってプログラミングをすれば、PC上でやる事はほぼなんでもできます。
従ってエクセルの上級者には
- Excelはただの道具であることを意識し
- 目的に応じて様々な使い方があることを知り
- 使い分けが出来ること
が必要です。
これを心から理解できる人は、それなりにExcelを使って失敗と成功を経験しており、エクセルの深淵に踏み込んでいると考えます。
データ処理の方法しか知らない人間を、エクセル上級者と呼ぶのは、私にはちょっとできません。
方眼紙エクセルについては先日面白い記事を見つけたので、時間のある方は Gabekore Garage - Excel方眼紙ってなんでダメなの? を是非御覧ください。
Excelの機能を一通り把握している
「機能を一通り」なんとも恐ろしい響きです。
最初に呟いた時、やばい。誤解されるんじゃないか?と不安になりました。
読者の方々からは、私はすごくExcelに詳しい人だと思われているかもしれませんが、実はと言うとあまり大したことないです。
下手したら、Excelの勉強を初めて1週間の人から教わることだってあるかもしれません。
何故なら仕事を通して必要なことを学んだだけだからです。
要するに仕事で使わない機能の事は知らないのです。
例えば、私はつい数ヶ月前までSUMPRODUCTの使い方すら理解していませんでした。←VBAでやっていたので。
例えば、私はグラフ作成については、ほとんど知りません。←仕事で使わないので。
かといって、まったく知らないわけではありません。
でも、どんな機能があるのか。どんな時に使うのか。どうやって使うのか。なんとなくですが、知っています。
大体の機能は一度触ってみて、自分の業務で使えそうか、取捨選択をしています。
新しい作業をする時は、どの機能について調べれば良いかを知っています。
だから「ある方が日常的に使用している機能が、私の日常では必要のない機能」であれば、教えてもらうことになると思います。
たまたまベテランの人が答えられなかった事を知っていた時「コイツ、PC大先生と呼ばれて偉そうなのに、そんな事も知らなかったのか、俺のほうが上だな」なんて思わないように。
知識の幅が人によって違います。というか詳しい人ほど、知識を溜め込みすぎて、最近使っていない出来事だと、すぐには思い出せなかったりします。
でも、VLOOKUPとか複雑な数式をガンガン使いこなしている人でも、Excelの機能を全然知らないとしたら、そのような人は上級者とは呼びづらいと思います。
同様にマクロ、VBAが書けるだけでは、上級者とは呼べないと思います。
だから上級者と呼ばれる条件の一つとして、Excelの機能は一通りは把握しているべきだと、私は考えます。
入れ子になった関数を読んだり、必要な式に改変できる
上記2つではエクセルを大局的に見て、知識の幅の広さを求めてきましたが、最後は純粋に技能の深さを求めてみました。
エクセルは幅広い使い方があることを説明しましたが、結局のところエクセルは「表計算ソフト」です。
エクセル関数を十分に使いこなせていなければ、上級者とは言えないでしょう。
とはいえ、
のような数式を、必ずしもマスターしている必要はありません。
配列数式を駆使した複雑な数式は大半の人間には必要ありませんし、読み書きできるとしても時間をかけてまで作ることはあまりしないと思います。
SPLIT関数互換式 =INDEX(TRIM( MID( SUBSTITUTE($A2, ",", REPT(" ",LEN($A2))), ROW(INDIRECT("1:"&LEN($A2)))*LEN($A2)-(LEN($A2)-1), LEN($A2) ) ),COLUMN()-1)
では、具体的に必要な式/関数は何なのかと言うと、なかなか難しいです。
よく話題に出るような複数の関数を使って、数段階以上の式を解読して、自分に必要な式に組み替えることができれば十分だと思います。
ただし、初めて見た関数や式を見たときに、理解出来ないことには始まりません。
もちろん検索に頼るのは問題ありませんが、数式に出てくる概念を一通り知っているべきでしょう。
- 配列(CSE式、SUMPRODUCT)を使った計算がイメージできる。
- シリアル値の概念が説明できる。(シリアル値を+1したら翌日になる。など)
- 一般的に使われる関数が働かないイレギュラーなケースを経験している。 (SUM関数は文字列型の数字を無視する。など)
このくらいは必要だと思います。
その道の人にとって必要な機能
上記3つに加えて絶対に必要なのが、実務で使うための操作技術を身に着けていることでしょう。
これは対象となる機能が、業種によって大きく異なると思います。
私の場合は、VBAを基本として
- エクセルをベースとした業務システムの開発
- 他のソフトで使用するテキストデータの変換
- エクセル上での帳票とデータベースの作成
などを行いますので、これらに必要な機能への理解は深いです。
ある業務に最適なエクセルの操作を、他人に自信を持って示すことが出来る人。
それが私の考えるExcel上級者には、必要な事だと思います。
さいごに
繰り返しになりますが、これは思いつきで書いたことですので、数日後には主張が変わってるかもしれません。
周りの環境によって、VLOOKUPが使える程度でも神のように崇められる人もいれば、使えるのが常識だと何も評価されない人もいるでしょう。
だから明確に区分することは、あまり意味がありません。
当然、面接の時に私はExcel中級です!なんて言っても、相手には伝わりません。
でも心の中で思うのは自由です。そのほうが自信につながると思います。
楽しんで読んで頂けたなら幸いです。
Excelで中級者と呼ばれるに相応しい表の作成の考え方は、下記の本を読むと身につくと思うのでオススメです!
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ある程度VBAが書ける人には、タカハシさんの「パーフェクト Excel VBA」がオススメです!
以上
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